パームオイルはビーガンと言い切れる??
先進国では大きな問題として扱われていますが、日本ではまだ認知度の低いパームオイルの問題について取り上げてみました!パームオイル自体は動物性食品ではないですが、もしあなたがビーガン精神を持っているなら、パームオイルの摂取を避けたくなるかもしれません。
1、パームオイルとは?
パームオイルはアブラヤシというヤシ科の植物から取れる油です。ココナッツオイルは同じヤシ科でもココヤシから取れる油で、全く別のものです。
あまり身近に感じないかもしれませんが、日本人でも年間約4~5キロのパーム油を摂取していると言われています。驚きますよね。これは日本では食品表示欄への記載義務がなく、植物性のオイルは「植物油脂」とだけ書けばい良いとになっています。この「植物油脂」はスーパーで買えるあらゆる食材に含まれていて、高確率でパーム油が使われています。
2、パームオイルのメリット
―固めたり液体にしたりという加工ができ、精製後は酸化もしにくいので使い勝手が良い。固めたものはアイスクリームやチョコレート等にクリーミーな食感を与え、液体の状態で揚げ油として使用するとさくっとした食感にできる。
―価格が安い。生産効率がずば抜けて良く、1ha辺りの生産量が菜種油で約1200kgなのに対し、パームオイルはなんと約4トン。主にマレーシアやインドネシアなどの発展途上国で生産されるため、コストも安い。
3、パームオイルの生産による環境破壊
パームオイルは、オイルが取れる実の収穫から24時間以内に搾油しなければならない性質上、プランテーションのすぐ近くに工場を作り、一度に大量の実を運ぶための輸送手段を用意しなければいけない等、大規模な開発が必要になります。より早くこの大規模な開発のコストの元を取るためには、より大きなプランテーションを作らなければなりません。この為、アブラヤシが育ちやすい熱帯気候の土地、つまり熱帯雨林の多くがすごいスピード(過去20年間で九州以上の面積と言われています)で切り開かれています。熱帯雨林は「種の宝庫」とも言われ、全世界の半数以上の種が生存しています。その熱帯雨林が失われるとどうなるでしょう?すでにオランウータンは生息地の80%を奪われ、元々希少な種であるトラや象も絶滅の危機に追い込まてれいます。
また、この熱帯地域には「泥炭湿地」と呼ばれる水分と炭素を多く含む土地が広く存在します。この土地の開発により、炭素が空気に触れることになり、大量の温室効果ガスを発生させます。また、開発のためにこの「泥炭」から水分を抜くことで火災も発生しやすくなります。この結果、インドネシアでは数年に一度大規模な山火事が発生し、世界でも主要の温室効果ガス発生国になっています。
4、飽和脂肪酸を多く含むパームオイル
2003年にWHOより、「トランス脂肪酸」がコレステロール値を上げ、心血管疾患のリスクを高めると発表されて以来、使用を禁止したり含有量の表示義務がある国や州が増えました。トランス脂肪酸とは、牛などの脂肪分や乳製品に自然に含まれるほか、常温で液体の植物油を固形にする際の加工段階で生成され、マーガリンやショートニング(スナック菓子、ケーキやクッキーなどに使われる)等に多く含まれます。このトランス脂肪酸を含まず、しかも項番2にあげたようにショートニングのような働きをする、そして安いパームオイルが一気に脚光を浴びました。しかし、パームオイルには飽和脂肪酸が多く含まれ(成分は牛脂に近いとも言われている)、こちらも心血管疾患の原因となるとされています。パームオイルの使用は「トランス脂肪酸」に敏感になった消費者を満足させるだけで、健康への被害には大差ありません。
上記の様に、パームオイルの大量生産は環境を破壊し、動物の命を奪い、健康にも良くない、更には現地における住民の土地を奪ったり、小さな子供が違法に働かされるという現状の中、それでも多くの食品、化粧品や洗剤に使われ、更に日本ではバイオマス燃料としての開発も進められています。(欧米では廃止の方針にあります。)これは、パームオイル安さや扱いやすさの他にも、この問題を知らない人が多いことも理由に挙げられると思ったので記事にしました!パームオイルの問題について考えるきっかけになれば幸いです。個人でも、企業への問い合わせや、購買を控えることによって社会に意見を示すことができます。